発達障害に関して
当院ではこころには「発達障害的部分」「非発達障害的部分」の二つの要素で構成され、それらの割合によって障害の程度が違うと考えます。
重症度を上からみると、
・知的障害を伴い、集団生活ができないレベル
・特殊学級を要するレベル
→小児系の精神科治療域
・中高までは大丈夫だったが、自由度の高い大学生活はおくることができないレベル
・大学は卒業できるが、就職活動ができないレベル
→就労移行支援施設などの活用を要する治療域
・就職はできるが、面倒見の良い人がいないと仕事ができないレベル
・なんとか仕事はできるが、いつも苦しいレベル
・仕事はできるが、ちょっと意地悪な人がいると容易にバランスを崩すレベル
・なんとなく楽しめない、周囲となじめない。自己理解が欲しい
・周りと生活できる人…正常?
どこからを発達障害と診断するか、というのは様々な意見がありますが、フーコーによると社会生活を送れない人を『障害』者として扱うそうです。なので、発達障害かもと思われ、来院される患者さんのほとんどが、俗にいう『グレーゾーン』に該当します。
ADHD、ASD、LDの要素についても、程度は様々で、重複します。ASD的な要素が強い人も、ADHD的な部分がありまし、逆もしかりです。
ADHD的な部分については薬が効くので、まずは薬物療法を勧めています。もちろん、薬物療法にも限界があります。ASD、LDに対しては有効な薬物は今のところありません。
ASD的部分については、ソーシャルトレーニングも含んだ、カウンセリング治療も候補にあげられます。当院ではカウンセリング技法における、『支持的共感』をベースにしながら、仕事における優先順位のつけ方、人間関係を円滑に進めるスキルなど、具体的かつ現実的なアプローチも重視しています。
ADHDの薬にはコンサータとストラテラ、インチュニブがあります。
コンサータは最もエビデンスが高く、最も安いです。一番普及しているので、当院ではまずこの薬を勧めています。副作用は頭痛、吐き気、食欲不振などです。副作用があれば、ストラテラに変更します。
インチュニブは子供にしか使えません
コンサータは18㎎より開始します。副作用がなければ、効果を認めるまで増量することが多いです。
発達障害の方は寝つきが悪い人も多いので、睡眠薬も併せて処方することが多いです。
睡眠薬はお酒と一緒に飲まないでください。