早稲田メンタルクリニック院長ブログ

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気分よくするためには飲まずにいられない

気分よくするためには飲まずにいられない
大学生Fさん(20歳、女性)の場合
つきあっていた彼氏から覚醒剤を勧められました。注射ではなく、普通の錠剤なので、飲みやすそうでした。私も興味本位でその薬を飲んでみました。1回でやめれば問題ないだろうくらいに思っていたのです。
飲んでみると体が軽くなり、これまでにないぐらい頭がすっきりして元気がみなぎりました。いつももやもやしているのが嘘みたいでした。むしゃくしゃするとまた飲みたくなって、もう1回だけ、と思いながら、ついずるずると続けていきました。でもそのうち、薬の効果が切れてくると、余計に体もだるく、やる気が出なくなります。そうなるともう薬なしではいられなくなり、友達に嘘をついて借金をしてまで薬を手に入れました。徐々に同じ量では効き目が落ちてくるので、薬の量も増やしました。1年ほどするうち、誰もいないのに「殺すぞ」と脅す声が聞こえるようになりました。
怖くなって病院に相談に行ったところ、医師から「薬物依存」と診断されました。やめようと思ってもやめられないので、入院治療を受けました。退院後は病院から教えてもらった自助グループに通うことで、薬物を使わない生活と新しい仲間をつくることができました。

https://www.mhlw.go.jp/kokoro/case/case08.html

 

「1年ほどするうち、誰もいないのに「殺すぞ」と脅す声が聞こえるようになりました。」というのは薬剤性の幻覚妄想状態です。これは抗精神病薬が有効ですので、断薬及び薬物治療が推奨されます。