早稲田メンタルクリニック院長ブログ

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孤独、自立は美しいか

 周囲に迎合することなく、周りに流されることなく、たとえ多くの人を敵に回したとしても、誠実で正直であり、本質を見極め、自分が信じた道を進むこと。それは孤独な作業である…。

 そういう「孤独、自立」に対する共感的な価値観は、ふだんの会話の中ではなかなか取り上げられることがないので、周りの人も同じように持っているのか、不安になりますが、もちろん、万人が理解を示すものだと思います。

 

 ただ組織の中にいると、周囲にあわせることのない人間や、周囲にあわせていても「腹の底では別の価値観があるんだぜ」みたいな人は扱いにくいですし、面倒な人になってしまうことが多いです。

 面倒な人にならないコツは、目立つことを避け、周囲と協力しながら、私という個人をゆっくり育てていくことなのだと思います。

 

 芸術家や学者であれば、我が道をいくことがすなわち、彼らの仕事にもつながるのでわかりやすいのですが、多くの人は組織の中で、組織の歯車として一生を終えます。

 歯車である人が、孤独や自立の価値を大事にしていく意義はどこにあるのでしょう。

 おそらくそれはトラブルが起きた時にわかります。

 

 組織や集団は時に狂気に変わり、弱者を傷つけます。

 周囲に流されない、「孤独や自立の価値を大事にする人」は弱者の宿り木的立場になり、彼らを助けるのでしょう。

 

 そういう人が、やっぱり美しいのかなと思います。