早稲田メンタルクリニック院長

早稲田メンタルクリニック院長のブログです。https://wasedamental.com

物差しの調整

 前衛的で、クリエイティブなものを目指すのなら、別かもしれませんが、治療の場で目指すことは「中道」です。黒でもなく、白でもない。あいまいで、グレーなものを目指します。ある種、常識的で、退屈なものを僕らは目指します。

 

 精神科に来れば、何か新しい答えがあるのではないか、と思われることは多く、もちろん、僕自身も新しい精神療法の技法や書籍を読む時には、未知なるものを期待し、わくわくしてしまうのですが、結論は古今東西いつも同じで、「中道」を目指す、それ以外にはありえません。

 

 ありえないと言い切れるのは、人間社会は相対的なもので物事が決定されることが多く、多くの人間にとって社会という構造から抜け出すのは(物理的にも精神的にも)困難であるからです。

 

 こうした中道を目指すべく、物差しの調整方法として、僕は一度白か黒かに寄せてから、今度は真逆のことを考え、気に入った方から相手側に近づくことで調整しています。

 個人の幸せを目指すのか、治療者としての技量を高めることに重点を置くのか、という対立とか。

 

 でも、往々にして人生はこのような二項対立には落ち着きません。

 経営者としての社会的責任は? 従業員の幸せは? 家族の幸せは? 患者さんの幸せは? ニーズは?

 これらを加えて、考えていくと収拾がつきません。

 

 これらの点と点が線になり、そしてそれらは同一平面上にはなく、空間的にもねじれの位置にあることもあり、その中立点を探すことは難しいです。

 そもそも、3次元構造ではないですし。(4次元、5次元?)

 

 この中道というか、中立点というのは、グレーゾーンの中にあり、また3次元構造の中では浮動して動き回る、よくわからない点になるのです。

 

 

 

 じゃあ、それはわからないものなのか、とらえることは難しいのか?

 

 と言われると、そうではなく、健康な人はなんとなくその「点」をとらえ、うまく生活しています。

 僕の中にもそういう「点」があり、それがあるから、こういう仕事ができているのですが、でも、それを説明しようとすると、とても難しいですね。

 

 まぁ、カウンセリングはいいものですよ。