早稲田メンタルクリニック院長ブログ

早稲田メンタルクリニック院長のブログです。https://wasedamental.com

再発見なのか、新しい体験なのか

 カウンセリングルームでは過去の体験を振り返ります。

 過去の体験というのが、幼少期のころのものなのか、それとも10年前のことなのか、数か月前のことなのか、それとも今週あった出来事なのか、いずれにせよ過去の体験を振り返り、それらが語られます。

 それらの語りの中、患者さんと治療者は、何を知るのでしょうか?

 理屈で考えると、過去を振り返ることで知るのは、汲み取りきれなかった意味の再発見ということになるのでしょうが、しかし、再発見以上のものはないのでしょうか?

 

 患者さんと治療者の間で新たな体験は生まれないのでしょうか。

 

 もちろん、当然生まれると思います。

 カウンセリングルームでのやり取りは、言語のやりとりを繰り返すだけで、一見、何か新しいもの・体験を生産しているようにはみえません。

 患者と治療者はお金を介したやりとりを繰り返すだけで、友情のような親密なものが生まれないようにみえるかもしれません。

 

 実社会で起こるような、生産や親密さとは違うかもしれませんが、やはり新しい体験が生まれると思います。

 

 その部分をどのように受け入れていくのか?

 

 カウンセリングという体験を、治療として、もしくはアートとして、科学的な探求として、どのように理解していくのか?

 もちろん、カウンセリングはカウンセリング以上の呼び名を持たないのですが。