精神科医益田裕介の考察ブログ

早稲田メンタルクリニック院長のブログです。https://wasedamental.com

正しいことを知る

 カウンセリングにとって、正しい知識とはどういうものなのか。

 

 やはり、統計学的に実証可能なものだけが、正しいものとは限らないでしょう。人の心の中の出来事は、いわゆる客観的な事象とは異なり、心的体験という記述さえ困難な、ある種のファンタジー・物語なので、それは科学的に吟味することは困難であり、あくまで心的な事実ということになります。

 

 では、心的な事実というのは、「なんでもあり」なものなのでしょうか。

 そんなことはなく、その事実を表すのに、優劣はあると思います。

 

 僕らが行うカウンセリングは、料理に美味しいものがあるように、映画の面白さがあるように、美術に美しさがあるように、音楽の素晴らしさがあるように、客観的には言い表せなくても、人の心にしみわたるという指標を使えば、優劣があるものだと思います。

 

 よいカウンセリングをするためには、正しいことを知ることが大切です。

 過去の文献を読んでいくことは必須ですが、しかし、その行為は一人でテキストを読み進めていくのではなく、臨床行為の中で、また同じような立場にある仲間と共に、時にはより詳しい治療者の先輩らを交えて、意見を交わしながら、読んでいくことが大切だと思います。