早稲田メンタルクリニック院長

早稲田メンタルクリニック院長のブログです。https://wasedamental.com

週1回50分のカウンセリング

前回の続き

 

 まず、カウンセリングで何を話すかについて考えてみると、週1回の50分で、その週にあったことをすべて報告することはできません。さらに言えば、過去のことまで振り返って話そうとしたら、ますます時間が足りません。

 

 患者は治療者にすべてを伝えることはできず、なので、すべてを理解してもらえるわけではありません。当たり前のことですが、しかし、無意識的にはそう思えないのが人間です。

 なので、カウンセリングを始めた最初の頃は多いと思っていたカウンセリングの時間も、セッションが進むにつれ、とても短く、か細いものだとわかります。

 

 治療者は、患者の家族や恋人、友人よりもはるかに短い時間しか共有できません。

 

 それについて、患者はとても不公平のように思え、とても苦しみます。

 

 しかし、その苦しみが、現実生活のアナロジーであることに気づきます。

 

 誰であっても、自分の全てを理解できるわけではない、という気づきです。

 

 それが、この治療の場であっても、患者は痛切に知ることになります。

 

 ただ、その痛みは痛みで終わらず、新たな気づきをもたらしてくれます。

「自分を充分に満たしてくれるわけではないけれど、でもありがたいな」という良いものへの気づきです。

 

続く