早稲田メンタルクリニック院長

早稲田メンタルクリニック院長のブログです。https://wasedamental.com

インタビューの台本

 先日、twitterの動画で挙げたのですが、その時の台本です。

 読みにくいかもしれませんが…。

 

 

 

 

はじめまして、早稲田メンタルクリニック院長の益田裕介です。

当院には地域住人の方や、大学生、また大手町や飯田橋、新宿渋谷などで働く、多種多様な職種の方が来ます。インターネットを見て、他県から来られる方もいます。一部子供も来られています。

私は40~60人ほどの患者さんと毎日接しているのですが、そこで感じた悩みや疑問について考え続け、そして、患者さんに還元していくという仕事をしています。簡単に言うと、街お医者さんをしています。

 

結論を先に述べるなら、悩んで苦しんでいるなら、専門家である我々のところに相談に来てほしい、ということです。

 

今回、私は

・どんな問題意識を持ち、このクリニックを立ち上げたのかを説明し、そこで気づいた、精神科クリニックで働く面白さについて触れてみたいと思います。

では、よろしくお願いします。

 

 まず、精神科というのが皆様の生活になくてはならないものになっていることをご存知でしょうか?

 

 現代ほど、個人が自分を律することを求められている時代はありません。

 

 皆様にとって、イメージしやすいものとして、例えばスポーツを取り上げてみましょう。

競技レベルが上がり続けている、プロスポーツ選手の世界を見てもわかる様に、トレーニングは自分の欲望をコントロールしながら、合理的で最善のものを選び続けなくてはいけません。

食事も休養も「トレーニングの一環だ」と、コントロールされているのですから、とてもストレスフルだと思います。食べたいものを食べず、カロリーをコントロールし、お酒や遊びも我慢しなくてはなりません。

才能があるのはもちろん、それに加えて、ストレスに強い選手、高い自己管理能力を持つ選手しか生き残れない、過酷な世界となっています。

生まれながらの才能だけでなく、彼らの絶え間ぬ努力に我々が魅了されるからこそ、大きな感動を生み、尊敬の念を集めているのだと思います。

 

しかし、これはスポーツの世界に限ったことではありません。スポーツの世界は現実の社会も反映しています。

 

インターネットを中心に情報革命が起こり、AIなどの技術進歩で、世の中の仕事は大きく変化しています。これまで人間がやっていた作業が、コンピューターやAIによって奪われ、人間にはより高度な判断が求められる仕事や複雑なコミニケーションをとりあわなくてはならない仕事がまかされらるようになりました。

現代人は機械ではできない仕事をやっている。これはとても高度なレベルを求められているということです。

 

会社は自らの欲望をコントロールできる人間を求めています。そして、そのような人間であろうと、皆さんは努力しているし、また自信を失うこともあるのだと思います。

結果的に、世の中全体としては良くなっていると思います。パワハラ・セクハラも少しずつ減っています。2000年前後から10年間3万人を越していた自殺者も次の10年で減少し、今や2万人を切ろうとしています。この10年で3分の2に減ろうとしているのですから、とてもすごいことだと思います。世の中は良くなっているんです。

 

一方で、世の中は窮屈になりました。

現代人は過去の人達よりも。我慢強い人たちです。悩みやストレスから、他者を抑圧したり(奥さんを家庭に閉じ込め、自由を奪うとか)、誰か一人を悪者にして、いじめるなどしません。グッと堪えるのです。

 

「ストレスは自分の問題なんだ」と、グッと堪える人が増えた結果、我慢に耐えかねて、身体症状をきたす人が増えています。頭痛や肩こり、喉の違和感、胸痛腹痛、手足のしびれ。さらに発展し、不眠、食欲低下、意欲低下、不安や落ち着かないなどです。

 

そんな時、精神科に行き、相談するでしょう。

これは古代であれば宗教がになっていた役割にも近いのかなと思います。悪いものがついた、悪霊がついた、狐に憑かれた、みたいな感じですね。当時はお寺や教会に行き、祈祷やお札を購入し、邪気払いをしていました。それで安心し、よくなる人もいれば、実際に精神の病気のせいで、薬もなかった時代ですから、残念ながらよくならなかった人もいたでしょう。古代はそんな感じだった。

現代では精神科に行く様になった。自分から行くのではなく、周りからも「言ったほうがいいよ」と勧められるようになりました。

 

古今東西、とても不可解なことが起きると、人は不安になり、ますます負の連鎖が起きます。なので、誰か「大丈夫だよ」と止めてあげることが、すごく大切です。

あくまで個人見解ですが、お坊さんでも良いですが、現代ではやはり精神科医が一番、信頼される職業なのかな、と僕は思っています。

 何れにせよ、一人で抱え込まず、まず専門家に相談するという流れは良いと思います。

 

 

 精神科のある医療機関は大きく分けると3つあります。

・クリニック

・単科精神科病院

・総合病院、大学病院です

 

 それぞれの特徴を大まかに説明しましょう。

 まず、うつ病躁鬱病統合失調症などいわゆる内因性疾患の病気は悪化すると、妄想などに支配され、通院での治療が困難になります。通院できなくなるリスクや、自宅で問題行動を起こすリスク、薬を飲まないリスクなどがあるからです。そのため、入院治療が勧められます。

入院、そのフォローなどをメインに単科の精神科病院があります。

また最近では認知症の方なども入院治療をしています。

 

 次に総合病院、大学病院があります。ここでは合併症や手術を要するもの、身体的な症状が重篤なものをメインに扱います。大学では研究や教育も盛んです。

 

 クリニックの役割は、それ以外のことをやるものだと僕は考えています。

 一つはスクリーニング。様々な人が来るので、医療の専門家が「これは病気なのか、そうでないのか」「薬が必要なのか、不要なのか」をジャッジする役割が求められます。この中で入院が必要なものは精神科に送れば良いし、合併症のあるものや珍しい病気、治療の難しいものは総合病院や大学病院に紹介します。医療よりも福祉の領域に近いものは、地域生活支援センターを紹介したり、自立支援や障害年金の説明、市区町村の生活福祉課を紹介するのもいいと思います。

 

 また、日々の診療も行います。症状がある程度安定している患者さんの治療は、クリニックが対応すべきものだと思っています。精神科の治療は数年単位と長期間にわたるものも多く、この様に例えると不謹慎かもしれないですが、美容院や趣味の習い事教室の様に、顔なじみになりながら、無理なく長期間通えることが大切です。

 先ほど話したように、現代はかなりのストレス社会ですから、メンテナンスをするように精神科に通うことは何ら不思議ではありません。

 

 クリニックとは、気軽に相談に行けて、気軽に通える場所べきではないかと思っています。気軽に通えること、後ろ指指されずに精神科に通える様になったことで自殺率がたった10年で3分の2になったのですから、この気軽さというのは、新薬の開発と並ぶほど、とても素晴らしいことだと思います。

 

 ただ、それでもまだ気軽には通えないのが実情です。

 現在、クリニックは日中やっていることが多く、わざわざ仕事を休んで行かなくては行けません。調子が悪く、ただでさえ気まずい職場なのに、精神科に行くために休むとなれば、さらに気まずくなってしまいます。

 現代的な時代背景を加味したうえで、クリニックのあるべき姿を模索すべきなのではないかと思いました。

 

 そういう問題意識もあり、僕は夕夜間、土曜日に診療を受けられるクリニックを作りました。

 

 また、精神科に行き、専門家にじっくりと時間をかけて相談したい、というニーズも満たされていない様に思いました。カウンセリングの希望があっても、どこもいっぱいで、しかも一時間1万円などして、とても高い。毎週なんてとても通えない。

 なので、僕は1回3000円、診察とセットでも5000円を切る様に値段設定をし、クリニックのメニューに加えました。

 

 もちろん、医療関係者全てが左うちわで生活しているわけではありません。決して避難をしているわけではありません。

 

 これまでは技術的に、不可能だったのです。精神科も今ほどポピュラーではありませんでした。先人たちが、今の土壌を作ってくれたのです。

 僕は新しい技術を導入し、経費削減をすることで、この価格でもやっていける様にアイディアを絞り出したのです。

 

 1年がたち、クリニックで働くことはとてもおもしろいと実感しています。

 

 精神科クリニックは臨床の最前線です。ここではあらゆる知識や能力が求められます。

人文系学問(これは宗教が担っていたもので、哲学や文学、倫理学や芸術などそれらを理解する力が必要です)

理系的知識(医学はもちろんのこと、客観的な事実に基づいて判断する、科学的な思考が必要です)

マネジメントおよびコミニケーション能力(現代社会が求めている人物像に近づくべく、判自己管理能力やコミニケーションスキルを高める、ある種のコーチング的な役割が求められています)

 この複合競技はとても興味深いものだと思います。

 

 精神医学は科学ではない、と避難されることもあるのは、この様な複合的なものだからでしょう。

 ここには言語化困難なものがたくさんあります。

 どうしてよくなったのか、と伝えることが困難なものがたくさんあります。

診察室では、心と心の化学変化が起こり、患者さんは突然よくなります。どうして治癒が起きるのか、予測も説明もできず、あとで振り返ってみて、それらしく語りなおしたところで、どこか白々しいものになります。

 

 精神科の魅力とは、体験的な知を獲得することなのです。体験しないと理解できないものなのです。目に見えないけれども、それはきちんと存在するものなのです。

 本を読んでも、インターネットに知識だけをあげても伝えられるものではありません。我々が伝えるものは知識以上に、感情や態度のことであり、五感や第六感に直接訴えかけ、治療に結び付けるような「何か」なのです。

 

 最後に当院から告知をさせてください。

当院ではHPやブログ、フェイスブックツィッターInstagramをやっています。精神科臨床のリアルな現場を知りたい方は、ぜひフォローの方をよろしくお願いします。

 また医師、医療事務、心理士の募集も行っています。詳しくは、HPなどをご参考ください。

 

 最後までご視聴、ありがとうございました。