◯続、精神科医に気軽に相談した方が良い理由
また別の角度から、考えてみます。
悩んでいる人というのは、その程度が普段よりもはるかにひどいと、神秘的な現象が起きます。例えば肩凝りが酷いとか、喉が詰まるとか、突然涙が出るとか。これはいつもと違うぞというやつで、本人や家族にとっては不可解なことが起きています。
なので、気軽に精神科に来てください、と言いつつ、気軽にくる人はほとんどいません。追い詰められていて、とても不安な気持ちで来られます。
古代であれば宗教とか、教会に行って原因を求めたりしていましたが、現代というのは「とりあえず一度精神科に行ったら?」という風になっているのではないかな、と思っています。とりあえず一度行ってみて、それから考えたほうがいいんじゃないかと考えている人も多くいます。結果的に病気ではなくただのストレスであればいいんじゃないか、と考えているみたいです。
でも、本当にそれでいいのか?という話ですが、僕はそれでめちゃくちゃいいと思っています。例えば、自殺率ですが、2000年~2010年ぐらいまでは3万人ぐらいの人が自殺していました。それが2010年以降は2万人に減っています。
この数字は何が影響しているかといえば、一つは精神科医療がみじかな存在になったからだと僕は思っています。都心にはメンタルクリニックが増えましたよね。それまでは精神科は行きにくく、一度行ったら、変人扱いされ、仲間外れにされてしまうという雰囲気があったかもしれません。今は行きやすくなり、その結果、自殺率がすごく減っています。ですので、とりあえず精神科に行くことは非常に良いことだと考えています。
【参考】
警察庁:自殺者数(2019年8月15日)
https://www.npa.go.jp/publications/statistics/safetylife/jisatsu.html