早稲田メンタルクリニック院長ブログ

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仕事を頑張りすぎる、という質問に対する回答

仕事を頑張りすぎる人がいた時、どんな言葉をかけることが多いか、思いついたことをつらつら書いてみます。

 

●自分の中で仕事に対する基準が勝手に上がってしまい、身動きができなくなってしまったとき

→20:80の法則を用いるパターン

(2割の高所得者が全体の8割の富を独占している、という経済学者パレートの発見から発展し、経済の分野だけでなく、様々な分野でも「2割のものが全体の8割に影響を与え、残りの8割は全体の2割しか影響を及ぼさない」といえるのではないか、という経験則)

 ある有名なコンサルタント会社では、どんな仕事も、最初の2割の力で8割ほどが完成し、残り2割の仕事は8割の労力がかかると教えられます。なので、8割ほどの完成度で次の仕事に移り、様々な仕事をこなしたほうが全体としての成果は高い、と教えられるそうです。

 効率よく仕事をこなすには、このように考え、完璧主義にならず、仕事をこなしていくことが重要です。

 

・これでは仕事が上達しないではないか?

T:いやいや、どんどん仕事をこなすことで仕事のスキルは確実に高まっていきます。

 1年ほどたてば、去年より少ない労力でより高い完成度の仕事ができているはずです。なので、2:8の法則を意識しながら、まずは8割を目指していくことが重要です。

 

・社内の人ならそれでも良いかもしれないが、お金をもらっている社外の人に8割の完成度のものを渡すことはできない

T:仕事の完成度について、社内の人間では気づける差であっても、社外の人からは分からない、気にしないことも多いです。それよりも早く完成させてほしい、無理なくプロジェクトを続けてほしい、と考えている取引先の方が多いと思います。

 僕は昔、自衛隊にいたのですが、外からは完璧に見える儀仗隊の動作も同じ自衛官だと、案外粗をみつけられるもので、そういう経験をもとに「あれだけ完璧を目指す儀じょう隊でもそうなんだから、自分なんてこんぐらいしかできないよな」と開き直れるようになりました。

 なので、迷惑をかけることはないと思いますよ。問題があれば、相手から修正を求められるだろうし。

 

●人に頼れ、頼った方が良いと言われるが、頼ることが苦手

T:そもそも、頼ることが得意なのは「社長」職の人です。診察をしていてわかったのですが、その人本人の実力というのは、案外大したことがない、と思うことが多いです。彼らは勝負勘や度胸は優れているのですが、やはり「すごくできる医師」を間近で見てきたので、そこまですごくないよな、というのが正直な感想です。

 ただ人に頼ったり、問題があっても動じない胆力みたいなものはすさまじいと思いました。

 問題のない組織はありません。一個人の視点で見れば、あなたの前にあるテーブルの上には問題がない時期があっても、やはり組織全体を見れば問題は山積みなのです。なので、問題を抱えても、ストレスで参らず、前に進んでいくことができる、この胆力やリーダーシップが優れているのだと思いました。

 迷惑をかけてはいけない、のではななく、社長を見習い、会社員というのは人に頼りながらも問題を抱えることが個人として大事なのだと思います。