早稲田メンタルクリニック院長ブログ

早稲田メンタルクリニック院長のブログです。https://wasedamental.com

治療者は何を知っているのか

 カウンセラーは何を知っていて、どうして人の心を治療できるのか、ということはよく聞かれます。それはどこか、占い師は未来を当てられるのか、に似た質問のようにも聞こえるのですが、実際に何をやっているのか、が説明できると、少し話が進むのではないかと思います。

 

 例えば、前回のブログにも書いた「物差しの調整」というのは、僕らが誇る大切な作業だと思います。

 白でも黒でもない、グレーを受け入れてもらうトレーニングです。

 本人のいきすぎた白や黒は、周囲の人には明らかなので、それを指摘すること自体は治療者の特殊技能ではありません。相手の特徴や傾向を説明するのは、トレーニングを積んだ治療者でなくてもできますし、心理学を少しかじれば、もしくはかじらなくても、それは誰にでも簡単にできることのようにも思います。それを指摘することそれ自体は治療になりえません。

 

「指摘を受け、本人が安心して考えていけること」

 そういう時間や空間を提供することが、とても難しく、治療者としてやりがいがあることだと思っています。

 

 

 何を知っているのか、という問いについては、僕らしか知らない特別なことを知っているわけではないのですが、きざなことを言えば、しかし、そういう中でも治療が進んでいくことを知っているのかもしれません…。

 

 まぁ、カウンセリングはいいものですよ。