①パニック障害とは
何の前触れもなく、激しい不安感に襲われ、呼吸が苦しく、胸やお腹が苦しくなり、「これから死んでしまうのではないか」という思いに支配される病気です。
このような症状は数分以内に収まりますが、不定期に出現します。
このような症状をパニック発作とよび、このパニック発作が度々起こる病気のことをパニック障害と言います。
パニック障害の人は、この発作を恐れるあまり
日々、「また発作が起きるのではないか」と不安になり(これを予期不安と呼びます)、
電車の中やトンネル、エレベーターの中など、「ここで発作が起きてしまったらどうしよう」と逃げ場のないような場所を避けるようになります(これを広場恐怖と呼びます)。
頭では「パニック発作で死ぬわけはない」と分かっていても、発作の最中は強烈な不安感におそわれ、我を失ってしまう方も多いです。
不安のあまり、救急車を呼ぶ人も多いですが、救急隊が駆け付けた時には症状が落ち着いていることも多いです。
正確なメカニズムはわかっていません。
しかし、ストレスや疲労がたまっていると、個人差はありますが、誰でも起こりうる病気だといわれています。
②日本人に増えているか?
男女共働きで、忙しい人が増えているので、個人のストレスや疲労感は増していると思います。
そのため、パニック発作を経験したことのある人は増えているのではないでしょうか。
精神科の患者数は全体として増えているので、この病気を持つ方も増えていると思います。
③どのような年代に多いのか
誰にでも起こりうるため、どの年代というのは特にないよう思いますが、学生や新社会人に多く、また更年期を迎える前後の中高年女性にも多い印象があります。
④治療法について
まずはこの病気について理解を深めることです。
突然不安に襲われ、過呼吸になったとしても「これはいつもの発作だ。これで死ぬことはないんだ」と自分に言い聞かせながら、徐々に発作になれていくことが重要です。
ベンゾジアゼピン系の抗不安薬(アルプラゾラムやロラゼパムなど)も有効で、発作が起こりそうになる前に飲むと、症状が消失したり、軽減されます。
SSRIと呼ばれる抗うつ薬を毎日飲むことで、不安耐性があがり、発作が起きにくくなるといわれています。
パニック発作はくりかえすことで発作が起きやすくなってしまうので、薬をしっかり飲み、そもそも発作を起こらないようにコントロールすることが重要です。
⑤完治することは可能か
パニック発作自体は決して珍しいものではありません。
まずは薬をのみながら、うまく付き合っていくことが重要だと思います。
完治を目指すのではなく、薬をおまもりのように持ち歩き、日々過ごしている患者さんがたくさんいます。
カウンセリングなどを併用し、自分を理解することで、ストレスに強くなっていくことも治療のひとつです。
最終的に、薬を飲まなくなる人もたくさんいます。