早稲田メンタルクリニック院長ブログ

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業務量や心理負担の数値化、可視化はできるか?

臨床での疑問だが、患者さんが感じる心理負担や業務負担を可視化できないだろうか?

もしそれができれば、周囲にも理解されやすいし、患者さんたちのどうしようもない疲労感や自責感が減ると思う。

 

前提1.心や脳のリソースは有限である

まず、知ってもらいたいのは、人間の心や脳のリソースは有限であるということである。もっとわかりやすく言うと、我慢したり、頑張ろうとする意志の力は、使えば使うほど消耗する。1日で回復するものもあれば、長い時間かけて消耗し、回復にも同じもしくはそれ以上の時間をかけなければ回復しないものもある。

人は頑張り続けることはできない。

なので、睡眠などをとり、しっかり休まなくてはならない。

 

前提2、仕事も家も、辛いことも楽しいことも、何か出来事があれば人は疲れる

 疲れないものはない。仕事はもちろん、通勤時間も家事も、どんな些細なことでも少しずつ疲労は溜まっていく。

 楽しいはずの食事も、趣味も、それらでさえ疲労は生じる。

うれしいはずの出世や結婚、引っ越しや旅行もストレスであり、疲労である。

 

ただ難しいのは、寝ていれば疲労は回復するわけではなく、長すぎる睡眠はかえって疲れてしまうので、気分転換として新しい刺激を脳に与えてやらないと、疲労感から回復できない。人間の脳とは、結構めんどくさいやつなのだ。

 

これらを踏まえて、心理的ストレスを一覧にしたものがある。

ホームズとレイストレス度表(2020/1/30)

https://journal.jspn.or.jp/jspn/openpdf/1100030182.pdf

http://goope.akamaized.net/22129/160308132647-56de54879461c.pdf

 

しかし、実際にはこのまま臨床には用いにくい。

ということで、これについても、もう答えはあり、労災の基準を見てもらえるとわかりやすい

 

厚生労働省から、労働者の心的疲労をランク付けする方法がもう発表されているのだ。

なので、これを参考に、上司に説明などをしたら、労働者の負担をもっとつたえやすくなるのではないだろうか?

 

精神障碍者の労災認定(厚生労働省

https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/rousaihoken04/120427.html

https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/rousaihoken04/dl/120215-01.pdf

 

 

今後、僕個人として、これらをもっと分かりやすくまとめなおすこともやってみたいと思っている。