早稲田メンタルクリニック院長ブログ

早稲田メンタルクリニック院長のブログです。https://wasedamental.com

HSPについて、臨床医の立場からの対応

【概略】

患者さんから最近、HSPに関する問い合わせが多くあります

HSPとはHighly Sensitive Personのことであり、非常に敏感な人を指します。

誤解されがちですが、HSPは心理学者エレンアロンが1990年代に提唱した、性格特性のことであり、精神科で扱う病気ではありません。

検査を求められることもありますが、医療現場で行っているところはほとんどありません。。そもそも人口の15%ぐらいが当てはまるものであり、検査の対象になるのでしょうか? 無料のセルフチェックもありますので、それを利用してもらうといいと思います。

対処方法としては自分自身の特性を理解し、環境を整えたり、周囲の理解を得ることです。うつ病や不安障害を合併することも多いので、その場合は疾患に応じて治療を行います。発達障害と誤解されることもありますが、違う概念です。

 

HSPについて】

https://hsperson.com/ (2020/6/3)から引用すると

 

  • あなたの特性は正常です。人口の15〜20%に見られます。疾患としては多すぎますが、周囲の大多数の人々が十分に理解されていません。
  • それは生得的です。 生物学者は、ショウジョウバエ、鳥、魚から犬、猫、馬、霊長類に至るまで、100種以上(おそらくもっと多くの種が存在する)の生物を発見しました。HSPの特性は、ある種の生存戦略を反映しており、行動する前に注意深く観察するよう進化した結果です。非常に敏感な人(HSP)の脳は、実際には他の人とは少し異なる働きをします。
  • あなたは他人よりも微妙なことに気づいています。これは主に、脳が情報を処理し、それをより深く反映するためです。たとえば、眼鏡をかけている場合でも、より多くのことに気づくことで、他の人よりも多くを見ることができます。
  • また、圧倒されやすくなります。すべてに気づくと、物事が長時間に渡って激しく、複雑で、無秩序で、または斬新である場合、自然に過剰な刺激を受けることになります。
  • この特性は新しい発見ではありませんが、誤解されています。HSPは新しい状況に入る前に調べることを好むため、しばしば「恥ずかしがり屋」と呼ばれます。しかし、内気は獲得されるものであり、生まれつきのものではありません。実際、HSPの30%は外向的ですが、その特性はしばしば内向的と誤ってラベル付けされています。また、抑制、恐怖、または神経症と呼ばれています。一部のHSPはこれらの方法で動作しますが、そうすることは生来ではなく、基本的な特性でもありません。
  • 感度は、文化によって異なる方法で評価されます。それが評価されない文化では、HSPは低い自尊心を持つ傾向があります。彼らは「それほど敏感になってはいけない」と言われ、異常を感じます。

 

【検査について】

https://hsperson.com/test/

こちらで検査できます

 

【対処方法について】

自分自身の特性を深く理解すること。

周りとの違いを理解すること

 

ストレスを感じる場所を減らし、落ち着ける場所を増やすこと

周りと比べて、自分の努力が足りない、と思わないこと

 

共感しすぎないこと

攻撃的な性格、自省しない人間がいることを理解すること(あなたとは全く違う!)

 

不安やうつについては、専門家の治療を受けること

 

カウンセリングを活用すること

 

【合併しやすい疾患と治療法】

不安障害:抗うつ薬が有効

パニック障害抗うつ薬が有効

不眠症睡眠薬の助けを借りることも重要

うつ病抗うつ薬が有効

適応障害:休養や社会調整が有効

 

間違えられやすい疾患、発達障害