早稲田メンタルクリニック院長ブログ

早稲田メンタルクリニック院長のブログです。https://wasedamental.com

漢方の問題

1、漢方はどういうもの? 効くの?
2、プラセボでも効果があるなら良いのか?
3、弊害とは何か?
4、精神医学を理解する困難さ

 

1、漢方とはどういうもの?

漢方は生薬を合わせたものであり、簡単にいうと、スパイスのようなものである。

生姜などあり、スパイスたっぷりのカレーを食べるような、影響を体に及ぼす。

胃腸の動きを活性化させたり、便秘を治したり、むくみをとったり、カフェインのように元気にさせるものもあるが、病気そのものを治す効果はない。また、患者さんに処方しても、個人差が大きく、統計的な優位さがない。

漢方から、化学成分を抽出し、薬になったものもあるが(アスピリン、抗マラリア薬、エフェドリン、ペプチド類似物質など)、漢方自体としては薬効乏しく、科学的根拠がない。

2、プラセボでも効果があるなら良いのか?

それでも効果があるように錯覚するのは、プラセボ効果によるものだろう。

実際のところ、精神科の薬は効かないことが多く、疾患によってはプラセボと大差ないものも多い。

自分が信じるものを信じた方がプラセボ効果も高いので、漢方は信じるものには効く薬とも言える。

3、弊害とは何か?

漢方薬は自然由来の成分を使用しているため、一般的には安全だと考えられていますが、悪影響も起こることがあります。以下は、漢方薬が体に及ぼす可能性のある悪影響です。

副作用: 漢方薬には、各成分に起因する副作用があることがあります。例えば、胃腸の不快感、下痢、発疹、かゆみなどが報告されています。また、過敏症やアレルギー反応が引き起こされることもあります。また流産のリスクを高めることもあります。

薬物相互作用: 漢方薬を他の薬と一緒に服用する場合、薬物相互作用が起こることがあります。これにより、薬の効果が弱まったり、逆に強くなったり、または予期しない副作用が現れることがあります。

質の問題: 偽薬や劣悪品が市場に出回っていることがあり、これらの製品を使用すると効果が得られないだけでなく、健康被害を引き起こすことがあります。また、重金属や有害物質の混入がある場合もあり、注意が必要です。

適切でない使用: 漢方薬を適切な用量や期間で使用しない場合、効果が得られなかったり、逆に過剰摂取による副作用が起こることがあります。

適切な治療の遅れ: 漢方薬に頼りすぎることで、必要な現代医学に基づく治療が遅れることがあります。これにより、病状が悪化したり、回復に時間がかかることがあります。

 

特に以下の生薬には注意を払う必要があります。

 

麻黄(Ephedra sinica)と甘草(Glycyrrhiza glabra)は、漢方薬によく使われる成分ですが、適切でない使用や過剰摂取の場合、悪影響が生じることがあります。

麻黄の悪影響: 麻黄はエフェドリンというアルカロイドを含みます。エフェドリンは、中枢神経系を刺激し、気管支拡張作用がありますが、以下のような悪影響があります。

循環器系への影響: 高血圧、心拍数の増加、不整脈心筋梗塞など、循環器系に悪影響を及ぼすことがあります。
中枢神経系への影響: 焦燥感、不安、睡眠障害、頭痛などが生じることがあります。
水分・電解質のバランスの乱れ: 利尿作用があり、水分・電解質のバランスが乱れることがあります。

甘草の悪影響: 甘草は、抗炎症作用や咳止め作用があるとされていますが、過剰摂取や長期使用の場合、以下のような悪影響が生じることがあります。

偽アルドステロン症候群: 甘草に含まれるグリチルリチン酸が、体内のアルドステロン様作用を引き起こし、水分とナトリウムの過剰貯留、カリウム排泄の増加が生じます。これにより、むくみ、高血圧、筋力低下、心不全などが起こることがあります。
消化器系への影響: 胃痛や消化不良などが生じることがあります。

これらの悪影響を避けるために、麻黄や甘草を含む漢方薬を使用する際は、適切な用量と使用期間を守り、医師や薬剤師と相談してください。また、既存の病気やアレルギーがある場合は、使用前に専門家と相談することが重要です。

4、精神医学を理解する困難さ

漢方を信じるが故に、適切な科学リテラシーが身につかないこともある。その結果、医療者とコミニケーションが困難になり、問題の本質を一緒に考えていくことができなくなる。

そもそも精神医学や精神疾患を理解することはとても難しく、医学的な知識から心理学、社会学、などの理解および、そして自分自身の心と向き合う必要がある。

知識と経験と感情が結びつく必要があるが、その水準に到達するのを妨げる可能性がある。