早稲田メンタルクリニック院長ブログ

早稲田メンタルクリニック院長のブログです。https://wasedamental.com

ビジネスモデルについて(なんとなく、ちょっと話します)

ビジネスモデルについて(なんとなく、ちょっと話します)

・精神科臨床

 

 日本の保険制度は、限りある財源を、患者及び医療従事者に対して最適化されていないことは、おそらく多くの人が同意するだろう

 

   長期入院を主体とする精神科病院薬物療法が発達した今、もはや時代遅れで、国は緩やかに保険点数の引き下げをすることで、構造変化を促している。一方で、今更無理だよ、とか、入院患者の高齢化が問題になっており、今いる人たちを追い出すことは難しいだろう。  

そのため、緩やかに老人病院化をしていくことが良いだろうと僕は思うが、働いている医療従事者のリスキリング(精神科知識だけでなく、高齢者の身体管理をする内科的な知識)や医療器具の更新などがネックになると思う

 

 訪問医療の普及は長期入院から地域へ移行するのに良いシステムだと思うが、財源とマンパワーの分配としては、コスパは悪い。感染症の危険はあるとはいえ、患者さんらを一箇所に集め、診療する方が効率が良い。

 2030年以降には人口も減り、相対的に医者あまりの時代も来るので、国も賢いから、それでいいと思っているのかもしれない。

 訪問診療は保険点数も高く、僕のように外来クリニックをするよりも稼ぎが良い。なので、精神科医でも訪問診療を主体とする医師が増えてきた。高齢者も多いため、内科的な知識を身につけつつ、研鑽積めるのも今時の精神科医という感じがする。

 ただ僕は「言葉の力で治す精神科医」に憧れてこの世界に入ったので、心を見る内科医のような精神科医にはあまりなりたくなく(本当は診断と薬物療法をしっかりとやり、心理士と役割を分担した方がいいのだろうが)、だから、僕は今のスタイルで診療するのを選んでいる。

 訪問診療は危険性もある。患者さんの暴力性や攻撃性の被害に遭うこともあるだろう。今後、格差や分断の拡大に伴い、日本の治安も悪化すると思われるので、エッセンシャルワーカーの身の危険も問題になるだろう。

 

 総合病院での精神科

 一つの組織でたくさんの役割や機能を持たせようとすると、マネジメントコストが指数関数的に増えていき、破綻する。

 吉野家の牛丼のように、メニューが少ないからこそのコスパであり、ホテルのレストランのように和洋中が揃い、それぞれで一流の料理を出そうとすれば、値段は自ずと高くなる

 質を下げれば種類も増やしつつ、値段も下げられるが、命に関わる医療の質は下げられないだろう

 なので、下げられる点としては医療従事者の負担を増やしたり(安い給料でたくさん働かせる)、患者さんの待ち時間が長くなる(つまり医療以外の経費を下げていく)。

 大学病院だと、さらに教育と研究の機能も持たせようとするので、優秀な人を揃えないと、破綻しやすくなるだろう(個人の負担は大きい)

 臨床機能だけに特化するならば、循環器センターのような一つの科で完結する方がよく、産科や精神科病院も同じだろう

 

 精神科クリニック

 薬だけを出して、話を聞かず、たくさん患者さんを見れば儲かるシステム。どこまで外来の数を減らせるか、が医師の良心にも問われるだろう。一方でなかなか初診を診てもらえず、何ヶ月も待っている人がいるのも事実で、多くの人を救いたいと思えば、どんどん患者さんが増えていき、結局、誰の得にもならないことになってしまう。できるだけ多くの人を救いたい、というのが医師なので、このバランスをどこに設定するかは、個人個人違うだろう。

 なので複数の医師で診療所をやろうとすると、診療する人数の違いで、様々な摩擦が起き、職員間でも患者間でも起きてしまうので、別のマネジメントコストがかかってしまう。ノルマ設定をするなどもあるが、なかなか難しい。時間がかかる患者さんもいるし。

 一人でやっている場合はマネジメントコストは最適化されるが、独善的になってしまったり、医師個人が心身疲弊してしまうことがある。そもそも卒後教育が難しい中、一人だと余計に教育の機会を失うだろう。

 最近の問題は、美容整形などを母体とする企業などが業界に参入し、店舗拡大をしていることだ。医師以外が経営のトップであることも珍しくなく(表向きには医師)、たくさんの患者さんを見るために効率化され、毎回主治医が変わるところも珍しくない。そういうところはジレンマを無視して、稼ごうとするので、患者さんにとっては良くないだろう。

 益田は個人開業医なので、この精神科クリニックに該当する。

 そういう中、僕個人の現在の結論としては、あまりやることを増やさずに個人開業のまま、マネジメントコストを抑えつつ、お金を稼ぎたい気持ちをそこそこに抑えつつ、「言葉の力で治す精神科医」を現代技術を駆使して、精進していくことだろう、と思っている。色々な人と繋がりを持ち続けることをできるだけ意識し、それも仕事だ、と考える。

 まぁ、勤務医だってそもそも、付き合いで飲み会に参加しているわけで

 

補足

 

訪問看護:最近、増えている。メリット、デメリットについては訪問診療のものとほぼ同じ 多店舗展開をする企業も増えている。ビジネスノルマがあったり、働いている人の雇用の流動性が高い?などの問題もある。が、これも一般企業と同じと思えば、そういうものなのか

 

精神科デイケア:集患が難しく、地域や場所を選ぶ。またプログラムの作成なども難しい。コスパはあまり良くない

 

就労移行支援など:デイケアのようなものを医師ではなく、民間人でも企業トップになれる。Kaienさんやリヴァさんとかがこれ。民間企業出身者も多く、プログラム作成は流石だな、と思います。 デイケアよりも支給されるお金が良い 病院を併設しているデイケアよりも、特化している分、マネジメントしやすいのも良い点 ただ参入しやすく、競合が増えてきたことと、そもそも患者さん満足度は上がっても、日本社会ないし経済にどのような意味があるのか、データーなどで立証していかなくてはならないだろう。施設間での教育効果も違うだろうが、そもそも入ってくる患者さんによっても教育効果が違うので(予備校と同じジレンマ)、元気な人を不安にさせて就労移行に通わせ(障害が重い人をあまりみず)、職員教育も最小限に抑えるのが一番効率が良く稼げてしまう、というジレンマがある これも施設の倫理観にかなり委ねられてしまうだろう ので、透明性や施設間の正しい相互監視が大事になる (そういう意味では益田のYouTubeで社会に対し、啓発していくことは大事みたいだ)

 

開業心理士:自費で行われる 働く心理士の倫理観のみが頼りで、どこが良いか確かに分かりにくい。透明性の確保も難しいし… 学会や協会がその役割を果たせるよう努力しているが、民間資格なども横行し、問題も多い ここらへんの問題を可視化し、社会問題として取り上げつつ、制度を作っていくこと(アメリカのような形に近づけていくこと。制度成立過程までに彼らが体験してきた犯罪や事件(心理士、クライアント、どちらも加害者であった)、裁判の記録を学ぶこと)が求められるだろう

 

ピアサポートの場 ボランティアの疲弊 教育制度の不十分さ ビジネスモデルのなさ…など

 

メンタルヘルス関係のスタートアップなど マネタイズがうまくいっていない…

 

 

 

 

 

 

 

 

ビジネスモデルについて②

 

YouTuberにはエンタメ系、料理系、趣味系、ガジェット紹介系、教育系…など様々な分野がある。

 

この中で、登録者数や再生回数を稼ぎやすいのはエンタメ系だが、当然、多くの競合がいるので稼げるまでが大変。再生回数に基づく、広告収入だけでなく、最近はVtuberなど、ライブ配信をやり、コンサートをして、グッズも販売し、いわゆる推し活で稼ぐスタイルも台頭している。

 

自社コンテンツを売りやすいのは料理系、ファッション系 包丁などの調理器具や調味料などの売上も良い。特に海外展開との相性がいい ファッション系は手法が確立されているが、市場が成熟しつつあり、競合も多い 筋トレやヨガなどの運動系も売りやすい 健康系はサプリメントや健康食品も売れている

 

趣味系や商品紹介、解説系は今後に期待 ジャパネット高田みたいに、紹介から販売までできるようになると、すごく稼げるようになる システムを構築しつつあるが、既存の産業を壊しかねないほどのパワーを持つので、国によっては規制される?ところもある(ややこしいので詳細は控えます)

 

教育系での稼ぎ方は大きく3種類ある

一つは「後半は有料のみ」みたいな形で、コンテンツそのものを有料販売していくやり方。金融系やビジネス情報など、競争に勝つための情報に対しては相性が良い

二つ目はオンラインサロンのように、学び合える場所をオンライン上で提供し、安全なコミュニティを提供管理する方法である

3つ目は自分がやっているスクールや塾、カウンセリングに誘導するもの。コンテンツは宣伝のためであるパターン

 

こういう中、精神科医YouTuberって、全て内部矛盾を孕んでいる… 医療情報のように命に関わるものは無料で提供すべきだし、お金に困っている人こそ、必要な情報でもある。 治療とは関係のない、倫理など趣味っぽいコンテンツは有料販売してみたが、当然、売れてません笑 オンラインサロンのシステムを応用して、患者会および家族会も運営開始したが、多くの人およびより重症の人(困っている人)を助けようとすると、管理コストばかり上がってしまうので、利益が出ない構造が生まれる。 より元気な人を集めた方が治療効果も高く出てしまうのは、予備校ビジネスと同じ構造を抱えている クリニックの宣伝というと、そもそもYouTube始める前から混んでいるので、過剰広告になっている 推し活ビジネスも陽性転移を促すだけで問題あり サプリや健康食品については情報商材と同じで、そんなにいいものではない 精神科医が紹介して販売するものもあまりないし。書籍とか? そもそも本を読めない人のためにYouTubeを始めたのだから、それも自己矛盾 とすれば、寄付やスポンサーなど、社会貢献をしたい人たち・企業を増やしていく、そういうことがビジネスの安定になるだろう が、まずは自分から寄付や社会貢献を始めないと人はついてこないので、益田個人としては働けば働くほど、寄付を貰えばもらうほど、自分の人生を生きにくくなるので、それもどーかな、と思いますし笑 難しいというか、こういうことを考えると面白いですね