(前回の続き)
実際、早稲田で土日や平日夕夜間を中心に診療をしてみて、これまでいた病院やクリニックでは感じられなかった、社会の雰囲気や流れを感じるようになりました。
パワハラやセクハラ、労働状況の過酷さ、共働き夫婦における子育ての難しさ…、そういうものは病院ではあまり扱ってこなかったものです。どちらかというと、統合失調症や躁うつ病の患者さんの入院などで苦労することが多かったので。うちのクリニックにくる患者さんはこれまで精神科に受診したことのない人も多く、うちのようなクリニックがなければ、彼らは精神科に受診することはなかった人たちかもしれません。
そういう人たちの声を聴くことで、これまでの診療では知りえなかった世の中のことを知ることができました。
彼らは薬物療法よりもカウンセリングを希望されることが多いです。
会社にいる人や友達、家族以外で、誰かと話がしたい、客観的な意見が欲しいというニーズは多いのだと思います。
ましてや、こちらは心理の専門家でもあり、なおさら話をしてみたいのではないでしょうか。私自身、話をしてみたかったという記憶もあります。
心理士さんにも来てもらい、このニーズに応えられるように、クリニックを運営できればと思っています。